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外壁材の種類比較と選び方

外壁材には様々な種類があります。

・サイディング(窯業系、金属系、木質系、樹脂系)
・モルタル
・タイル
・ALC/コンクリート
などの種類があり、

特にサイディングは現在のシェアが 9割ほどあります。
サイディングはその素材により下記のように分類されています。

・窯業(ヨウギョウ)系サイディング
・金属系サイディング
・木質系サイディング
・樹脂系サイディング

この中でも
窯業系サイディングがもっともシェアが大きく、現在8割ほどのシェアを占めています。

ズバリ言いましょう。
外壁材に迷ったら、
木造住宅であれば、窯業系サイディングを採用しておけば今のところは間違いはありません。
コストパフォーマンス、性能のバランスが一番優れていると言えます。

もし、予算があれば、パナホームのキラテックなどに代表される磁器タイル、鉄骨系住宅であればなどが候補に挙げられるでしょう。

サイディングとは

サイディング、サイディングと言いますが一体どのような建材をサイディングと呼ぶのでしょう。
サイディングとは「サイディングボード」と呼ばれる板状の外壁材を建物に接着剤や留め具を利用して固定していく工法の総称です。
サイディングボードを利用した外壁のことをサイディングと呼ぶのですね。
現在は窯業系サイディングがほとんどであるために、
窯業系サイディングボードを利用したものをサイディングと呼んでいると思ってもらっても構いません。

窯業系サイディング

窯業系サイディングはセメントと木などの繊維の有機(無機)成分を混合して表面にガラスコーティングをした外壁材です。
セメントは強度に優れており、繊維成分のもつ断熱性能を生かし、ガラスにより耐久性を確保している、といういいとこ取りの製品です。

特徴

耐久性、耐傷性、防火性、遮音性、防水性、施工性などに優れるなど
特長に関してはあげればキリがありませんが、
もっとも支持されている部分はデザイン性とコストでしょう。

どのようなデザインにも加工がしやすいために、
種類の豊富さにより人の好みにたくさんの選択肢を提供しやすいのです。

要はカタログから選びやすく、見た目の種類が豊富だということですね。

例えば、レンガの家に住みたいという人はレンガのもつ性能に惹かれているのではなく
レンガの見た目が気に入っているだけで、
欧風スタイルの家に住みたいという人は、欧風の性能ではなく
欧風の外観(内装)の家に住みたいということなのです。

こういった素材の違いについても、レンガ風のサイディング、石造風のサイディングなど様々な商品で対応しているのです。

窯業サイディングの欠点

凍害です。
凍害とは雨水などがサイディングに染み込み、冬季にそれが凍ることによって
水分が膨張することでひび割れが起きやすいのです。
防水性には優れていますが、それは表面の塗膜やシーリングなどが劣化していないことが必要です。
防水性能が失われたとき、放っておくと凍害が起きやすいのは欠点の一つと言えるでしょう。

なぜここまでシェアが大きくなったのか

以前の住宅ではモルタル外壁が主流でした。
どのような商品でも急に取って代わるようなことになるには大抵ブレークスルー的なきっかけがあります。
商品としての性能がどれだけ良くても、いきなりシェアを逆転するほど売れるわけではないのです。

窯業系サイディングがここまでシェアを伸ばすきっかけの一つとなったのが、新興産業という企業のテレビCMと言えるでしょう。
1990年代に当時有名であった小林亜星という作曲家が「パッとサイデリア」というフレーズで耳に残るメロディーにのせ
新興産業の商品である「さいでりあ」というサイディングを売り出すためにCMに出演していました。

このCMソングは話題となり、CDとして発売されるほどでした。
当時耳にした人はほとんどの人が脳内でこのフレーズをメロディに乗せ再生できるはずです。

新興産業はサイディングである「さいでりあ」を売り込むことに成功し、全国的にサイディングを普及させることに成功し、地図を塗り替えたのです。

ちなみに新興産業は現在は倒産しています。
閑話休題になりますが、新興産業はその従業員の使い方を週刊誌に批判されたのをきっかけにCMを自粛し、
CMを自粛したために売り上げが激減したのが原因とされています。
ここでもこの「パッとさいでりあ」というCMソングがどれだけ影響力があったかがわかりますね。

二大メーカー

現在、ニチハとケイミューが合わせて業界シェア8割を占めています。
その他旭トステムや神島化学工業などのメーカーがあります。
大手ハウスメーカーも自前でサイディングを用意しているところはあまり多くなく、
実はOEMにより上記メーカーあるいは、その他の外壁材サイディングのメーカーに作らせている場合があります。

耐用年数とメンテナンス

耐用年数は概ね10年ほどです。
新しいものであれば15年ほどの商品もあります。
サイディングはサイディングボードの劣化とサイディングボードを貼り付けている接着剤(シーリング、コーキング)の劣化があります。

サイディングボードは粉化に注意しましょう。
粉化とはチョーキングと言われる現象で、防水塗膜が劣化した場合に表面が粉状になっていくことです。
チョーキングという言葉通り、チョークで塗られた黒板をイメージしましょう。触ると粉がつきますよね。
これがチョーキングです。
外壁を触って手に粉がつけば何らかの手を入れるサインです。

表面だけ防水加工をやり直すのもいいですが、
この時大抵シーリングなどの接着剤も同時に変えてしまうのも手でしょう。
外壁材を別のサイディングに変えてしまえば、まるで別の家に建て替えたのごとく生まれ変わり気分も変わるかもしれません。

金属系サイディング

金属系サイディングはシェアはそれほど多くありませんが、最近人気が高まっている外壁材です。
金属系サイディングは文字通り金属をサイディングボードにし、それを外壁に使用したものです。
金属には
・アルミニウム
・ガルバリウム
・ステンレス
などが使用されます。

近年人気が出てきている理由に、デザイン性の高さが挙げられます。
また、デザインの種類にも幅が出てきています。

窯業サイディングと金属サイディングの比較

窯業系サイディングと金属系サイディングの比較です。
金属サイディングは費用が窯業に比べてどうしても大きくなりますが、
断熱性やデザイン性に優れています。
しかし、長期間メンテナンスが必要ないために結果的に合計のコストで見るとそれほど大きくは違わないこともあります。
イメージ通りの金属の特徴として、防風性に優れており、水分を吸収しませんから、凍害に強いということで
特に凍害が起こりやすい寒冷地では選択肢の一つと挙げられるでしょう。
性能面でも優位な部分もあります。
下記にまとめます。

窯業金属
費用
デザインの種類
デザイン性
断熱性
メンテナンス性

ガルバリウム サイディング

アルミニウムやステンレスは身近な素材としてイメージはしやすいかと思いますがガルバリウム(GL鋼板)はあまり馴染みのない素材かと思います。
もしかすると外壁材でしか聞かない素材かもしれません。
ガルバリウムは簡単にいうとトタンです。
トタンは表面を亜鉛でメッキ処理したものですが、ガルバリウムはこのメッキ素材に亜鉛にアルミニウムとケイ素を混ぜた合金を用いて防食性を高めたものです。

昔のトタン屋根のイメージでデザイン性が悪い、という人も中にはいますが
現在は金属系サイディングといえばガルバリウムのことを指すと言っても言い過ぎではありません。

金属は必ず経年により腐食します。
表面処理によりその腐食に対しての強度を高めたものがガルバリウムです。

こういうと採用したくなる人も多くなるかもしれません。
甲子園球場のあの有名な銀傘もガルバリウムです。

ステンレスは防食性というよりも耐食性が高いので、外壁には向いていますが
高価であるためにガルバリウムの方が人気があります。

ステンレス サイディング

ステンレスは馴染みのある素材です。
文字通りstain-less(サビなし)なので、耐食性の非常に優れています。
ステンレス(SUS)のサイディングは商品としては当然ありますがかなり高価であるために
あまり需要がなく、デザイン的にも選択肢があまりありません。

アルミニウム サイディング

アルミニウムも馴染みがあるかと思います。
その特性についてもご存知の部分が多いでしょう。
軽く、加工性に優れています。
しかし、特に新築住宅においてはアルミサイディングを採用する家はほとんど見かけたことがありません。
性能の部分でガルバリウムを上回る判断がしにくいためです。
ただその軽さと加工のしやすさゆえに、リフォームをする場合に採用されることが多いのです。

金属サイディングの欠点

まず第一に挙げられるのは酸化と腐食です。
塗装により表面が守られているために経年劣化以外で気にするべきものはないかとは思いきや、
金属は表面に傷がつきやすいのです。
表面に傷がつくと塗膜が剥げ、そこから酸化・腐食が始まります。

窯業サイディング同様にチョーキングが見られるほど劣化しているものを放っておくと
金属サイディングはサイディングそのものが腐食していき、金属の場合その「腐食」というものがすごく目立ちやすいため
少しの手抜きが大きな劣化(に見える)に繋がりやすいというのは欠点でしょう。

窯業サイディングの場合は「見た目」という部分でいうと、徐々に退色していく程度の変化しかありません。

また、金属サイディングは空気を全く通しません。
そのため、壁からの通気性には全く期待できないため、家自体にその機能を考えないと
湿気がこもりやすいということが言えるでしょう。
結露などに繋がりやすいということです。

耐用年数とメンテナンス

耐用年数は15年ほどです。
窯業系サイディングと同様に、チョーキングが発生したら塗り替えなどのメンテナンスが必要になります。
ここを怠ると見た目が悲惨なことになります。
日々のメンテナンスとしては、汚れを落とすために水を定期的にかけてあげるといいでしょう。

木質系サイディング、羽目板

木質系サイディングは、木の素材のサイディングボードを利用した外壁材です。
木の風合いそのものが外壁に使用されるために、ナチュラルなイメージにこだわる方に需要があります。

特徴と欠点

特徴は何と言っても木そのものなので風合いです。
また、木は断熱性に優れています。

木なので腐食に弱いため、腐りやすいです。
また、木なので条例や法律により外壁として使用できない場合があります。
腐りにくい塗装など表面加工をして、腐食に対して強度を強めることも可能ですが、
そもそも、木質サイディングを選択する理由の一つがそのぬくもり感などの風合いなので、
表面に加工をすることは本末転倒になることがあるでしょう。

「天然木」ではなく、「木の風合い」にこだわるのであれば、
窯業サイディングの木の風合いを持った外壁材を使用した方が色々な面で正しい選択であると言えるかもしれません。

樹脂系サイディング

樹脂系サイディングは、樹脂で一体となった素材でサイディングボードを形成したものです。
表面に塗装などを施したものではないため、塗り替えが必要ありません。
しかし、窯業サイディングと比較して需要が多くないので、
提供側もあまりバリエーションを用意していなく、
デザインなどの選択肢が少ないことがデメリットと言えるでしょう。

樹脂は英語でplasticです。
プラスチックとイメージしてもらえばいいでしょう。

「プラスチックサイディング」というと、すごくすごく安っぽい響きになりますね..

特徴と欠点

色などは素材として樹脂に混ぜ込んで形成するために、様々な表情は出しやすい一方、
樹脂なので耐火性には問題があります。
また遮音性や断熱性も高くはありません。
プラスチックのカバーです。(嫌な言い方ではありませんよ..)

サイディング自体が独立しているため、シーリングなどはしない工法が一般的です。
そのために、一部が破損した場合にその部分だけを取り替えるなんてことが可能で
メンテナンス性は非常に高いと言えるでしょう。

しかし、竣工後長い時間が経った後に一部だけを変えたい、となったとしても
その同様の商品がメーカー側にあるのか、という問題はあるでしょう。

モルタル

「モルタル」とは、砂とセメントで作られる素材のことで
モルタルはかつての日本でほとんどの家に使用されていた外壁材であります。
しかし、近年新築住宅で採用された、というのは聞きません。

要は白いセメントですね。
サイディングなどと比較すると、面倒な上に高額で亀裂が入りやすいなどの性能面でも不利であるために
徐々に廃れていきました。

いや、「パッとサイデリア」に駆逐されたのかもしれません。

特徴と欠点

パネルをはり合わせるようなサイディングとは違って、壁をセメントで塗る訳なので、つなぎ目がありません。
壁を「塗る」ために下地のでこぼこがモルタルでカバーされ、仕上がりがフラットになるといった特徴があります。
しかし、前述のように左官職人のような特殊な技術が必要のためにコストがかかる上に
亀裂(クラック)が入りやすいという欠点があります。

外壁タイル

タイルはその重厚な高級感から人気のある外壁材です。
注文住宅を手掛けてるハウスメーカーも各社様々な商品を出しています。
パナホームのキラテックなども外壁タイルに分類されます。

タイル VS サイディング

サイディングと比較してそのメリットは、何と言っても「かっこよさ」です。
外壁タイルの家とサイディングを目の当たりにすると、サイディングの安っぽさに気づいてしまうかもしれません。
サイディングは言うなれば、家のカバーです。
タイル風のサイディングもたくさんリリースされていますが、タイル風はやっぱりタイル風なのです。
タイルの家に住みたかったけど、予算が足りなかったのかな、と思われてしまうのはあまりいい気ではありません。

外壁タイルを検討中だけど、予算的に厳しい感じなので、タイル風のサイディングを採用しようかな、と思っている方、
それは避けた方がいいかもしれません。
それなら思い切ってガルバリウムなどの外壁で「これが好きだ」感を演出した方がいいと思います。

湿式工法(モルタル)と乾式工法(吊り下げ)

湿式は、まずは壁にモルタルを塗り、そこにタイルを貼り付けていく工法で、
乾式は取り付けた枠のようなものにタイルをはめ込んでいく工法です。

近年はほとんどが乾式工法です。湿式工法はモルタル外壁同様に、大規模なメンテナンスが必要なのに比べ
乾式工法は大規模なメンテナンスは必要ありません。
乾式工法でもシーリングが必要なものであれば、10年ほどでシーリングが劣化するために打ち直しが必要になります。

高性能タイル磁器タイル

各ハウスメーカーとも独自の外壁材として磁器タイル製品を持っています。
外壁タイルは磁器タイルを指す場合があります。

ALC / コンクリート

ALCと言えば、ヘーベルハウス、通称へーベル板です。
コンクリート外壁と言えば、積水ハウスのダインコンクリートです。
この比較をしてみようと思います。

ALCダイン
軽さ
断熱性
強度
耐久性
放置性
メンテナンス性
デザイン性
防火性

と、一長一短です。
共に放置性(どんな言葉だ)は高いのですが、たくさんの物件を目にしてきた私からすると
継ぎ目のシーリングのメンテナンスはどうしても必要のような気がします。

総合的にみて、若干へーベルのALCの方が上かなと印象を受けますが、
懸念事項として、劣化した時にへーベルの方が気泡が多いために、内部からのカビの発生しやすさなどは
若干心配な部分ではあります。

サイディングの選び方!!

それではいきますよ!。結論だけ書きます!

見た目と性能にこだわるなら、全面外壁タイル!!
しかし、予算が厳しいのなら、正面だけタイル!!周りはサイディング!!
もっと費用を抑えるなら、玄関周りのみタイル!!その他はサイディング!!
今風の攻めるデザインならガルバリウム(金属サイディング)!!
よくわからない、迷うくらいなら窯業サイディング!!

性能というより経年変化を家の味とするならコンクリートそのまま!!(ALCとかダインコンクリートとか)

ハウスメーカーの口コミ・評判一覧