僕たちは「森」に幻想を抱きすぎている
自然の響きに耳を傾けたことがあるかい? 森、森林という言葉が心に響くことは誰にもわかるだろう。それは人々の中にある原始的な記憶に訴えかけ、懐かしいような感覚を呼び起こすのだ。
そんな言葉に包まれると、生物の理想を抱くのが当然だ。それに、最近のナチュラル志向も相まって、森や自然、無垢材に対する憧れは年々強くなっている。 無垢材を使った家具や建築が人気を博し、街中でも緑を取り入れたビルが増えている。人々は忙しい日常から逃れるために、森や自然を求めているのだ。
ここまではわかる。しかし。はっきり言う。森は幻想だ
問いたいのは、「本当に森を知っているか?」ということだ。
森とは、生命力にあふれ、生物の多様性に満ちた場所。植物が葉を広げ、鳥が歌い、小動物がじゃれ合う。そして、その中心にあるのが、虫たち だ。
その生命力の源泉について教えてあげよう。それは、虫 だ。森の中には虫がたくさんいる。 大小さまざまな虫が、あの美しい森の中で共存している。
森とは、そんな生態系が築かれている場所なのだ。
植物だけで成り立つものではなく、植物も生態系の一端を担っている。それが、虫との持ちつ持たれつの関係だ。木々の根を固め、植物の受粉を助け、死んだ生物を分解する役割を担っている。
だが、君たちがイメージしている「森」は、もしかしたら虫がいないものかもしれない。
しかし、森とは虫がいないと成り立たないのだ。森の中で生活するというのは、虫と暮らすことなのだ。
虫たちは、森の中で大切な役割を果たしており、無くてはならない存在なのだ。
森を生活にというのは、虫を生活にということだ
森を住宅に取り入れるというのは、つまり虫を住宅に取り入れること。そこまでのイメージができている?
木の中で暮らすというのは、虫の中で暮らすこと。それこそが自然であり、それは避けることはできない。 だから、森を自分の住まいに取り入れる際には、虫との共存が避けられないものだと理解し、準備しておくべきだ。
虫と共存しながら、森を住宅に取り入れる方法を見つけなければ、森や木々や森林を生活に、住宅に取り入れることはできない。
殺虫剤で一網打尽? そんなことは絶対に無理だ。 都会の蚊ではない。
君は朽木をめくったことはあるか? 恐ろしいほどのシロアリが、羽蟻が、羽虫が蠢いているのだ。
単にファッションで 自然素材や無垢材を住宅のほんの一部に取りいれる人を除き、 それらの家に住む人々は、虫との共存を受け入れている。 彼らは、虫が持つ生態系への貢献を理解し、それを取り入れた暮らしを楽しんでいるのだ。
虫たちと共に、森の恵みを享受することで、より豊かな暮らしを実現しているのだ。
森や自然を愛する気持ちだけではなく、その実態を理解し、受け入れる心が大切だ。虫がいることを受け入れ、真のナチュラルな暮らしを手に入れることができるのだ。
虫と共に生きる森の中で、あなた自身が見つける美しい景色や感動は、計り知れない価値があるだろう。
その覚悟があるものだけが、森や森林と家を組み合わせた何か、を口にしていい。
その覚悟もないものは
その覚悟がないくせに、理想ばっかり語るのは「虫がよすぎる」ということだ ここまで。
これが言いたかった
↑ これが言いたかっただけではありません。 自然とは虫を含むものです。 自然の中で生活するというのは、虫がブンブン飛ぶことも受け入れることなのです。
夏には、街頭に虫が飛び交うこともあるでしょう。 たまにはクワガタやカブトムシなども飛んでくるでしょう。 そして、それらもそのうち全く嬉しいことでもなくなるのです。 クワガタもカブトムシも黒くて硬そうな虫という認識にやがて変わるのです。
自然に住むこと、棲むことはそのようなことなのです。 テレビのナチュラル嗜好なハウスメーカー(どことは言いませんが)のキレイな森は この世に存在しないのです。
朽木の下には無数のシロアリがいます。それが森なのです。