イエアナ

日本の家は寒すぎる(日本家屋に対する幻想)

日本の家は寒いんです。ここは譲れません。
日本が寒いのではありません。日本の「家が」寒いのです。

唯一快適なのが布団の中くらい。

ある冬の朝、布団から出るのが億劫になった経験、みなさんありますよね。
これって布団から出るのが寒いからですよね。
寒いなんてもんじゃない、圧倒的に寒いんですね。

布団の中と布団の外の快適さにそんなに差がなければ
布団から出ることがそんなに億劫になることなんてないはず。

色々なストレス的なやつで「布団から出る = 1日が始まる」というのが
嫌なパターンもあるでしょうが、それは別の問題ですね。頑張りましょう

断熱を軽視しすぎ問題

なぜ日本の家はこんなに寒いんでしょう?
それは皆が「冬は寒いものだ」と考えてることにつきます。
や、確かに冬は寒いですよ。
問題は「冬が寒い = 家の中も寒くてあたりまえ」と考えてることなのです。

昔は断熱材がない家が主流

昔と言っても、「ほんの少し前」のことです。
ちょっと前まで家には断熱材を入れる概念がありませんでした。

それは家は寒いし、暑いものだと考えてたからなんですね。
風通しがどうとか石油ストーブをどこに置こうとかそんなことしか考えてないんです。

1980年の省エネ法ができたあたりにやっと「断熱」という概念が出てきたんです。
それでも現在でも「家は寒いものだ」と考えてる人、多くありませんか?
なので断熱材をケチるんです。
ハウスメーカーでさえ「寒冷地じゃないから、これくらいでいい」という基準、商品を用意している始末です。

これって、理由考えてみると、日本人の「伝統に対する幻想」と「体裁大優先の気質」が関係しているんですよね。
「みんな寒いんだ、これを”寒い”といっちゃうのは恥ずかしいこと」と考えてるんですね。
これが「体裁大優先」ということですね。

寒い冬の日、布団から出られないのは「甘え」だ、という考え方です。

正直にいってこういう考えは何も生みません。
「布団から出た方が快適だ、という状況を作り出せばいいじゃない」というイノベーションのタネが
埋もれてしまいますからね。

断熱のない家、って本当に寒いし暑い

ヨーロッパなどと比べたら
日本の気候ってそれほど寒くも暑くもありません
最近は湿気は多いかもしれませんが

日本でも人気の北欧って寒いイメージがあるでしょう
昔、スウェーデンの友人の家に雪が積もる中に遊びに行ったことがあります。
想像してみてください。どんな印象を抱きますか?

めちゃくちゃ寒そうでしょう?
ところが家の中、全然寒くないのです。
これは断熱に関する考え方が全然違うからなのです。
歴史もあります。

日本の家は壁際は隙間風、
窓際は冷たい空気がスースーといった印象がないでしょうか?

一方で私が遊びにいった断熱材の厚さは日本の家屋の倍くらいは当たり前、
窓も二重サッシが当たり前、なんです
暖房も「そこだけ暖める」という考えではなく、建物の中全てを暖めるという考え方なんですね。
日本的な修行精神なんて微塵もありません。

考え方を変えよう

「家を建てたい」という人にどのような家を建てたいか、という話を聞くと
大抵「木のぬくもりの何ちゃら」とか「木造の歴史がなんちゃら」とか言うんですね
なぜか「日本における家屋の歴史的な建築方法が優れている」という幻想をみなさん、お持ちなんですね
なんか最近の「日本スゴイ系」のテレビの影響もあるのかもしれませんが

何百年も前の寺院が壊れずに建っている、とか言い出して。
築何十年のお寺に冬に上がったことあるでしょう?
死ぬほど寒いですよ
ほぼ、外です

近年、ちょっとだけ人気の出たいわゆる昔からある「町家」ってやつに
一度、冬でも夏でもいいですから入ってみてください
絶対、快適とは言えません

はっきり言いますね、もうちょっとよく考えようよ、って

建造物がシンプルであればあるほどそれは長持ちするでしょう。それは間違いありません
ただし、快適さを犠牲にして建造物を長持ちさせてなんの意味がありますかね

断熱材にしても樹脂サッシにしても、イノベーションの賜物です。
家を建てるその時の最新のものを導入しても、次の発明が来れば陳腐化するでしょう。
かといって「古き良き」なんて言葉に騙されて、
伝統的な日本家屋の工法で建てるなんて本当に馬鹿げています。

家は住むものです。鑑賞する物ではありません。
そこに住む者が快適に「暮らす」のが目的なのです。

単に木のぬくもりが欲しいのなら、
見えるところに木を配置すればいいじゃないですか。
これはスタイリングの話なんです。
ここを勘違いして、原理主義的に考える施主が本当に多いのです。

家は工業製品です。
常に新しくなってきたものです。
より良いもの、快適さを求めて。

どこかの時代のその工法が未来永劫ずっと素晴らしいものである、ということは絶対にないのです。
後ろばっかり見ていると人類の発明の歴史を否定することになりかねません

この日本で考えるならちょっとオーバースペックかな、くらいの断熱性能をもつ家を選んでもいいと思います。
その「オーバースペック」という判断の下地には「日本人の修行意識」があるためですから。

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