家は大きな買い物です。家を買うことを決めた時、
たいていの人は銀行に住宅ローンを申し込むことになるでしょう。
無駄な利息を払いたくないから、一括で買えるようになるまで、またはお金を貯めてから
購入、という考えの人も少なくはないことでしょう。

「持ち家を持つことはバカだ」的な意見を持つ人が最近は増えています。
当然それぞれの考えであるために否定はしませんが、
それらは「”住宅ローン”を契約することがバカらしい」というのが一つの根拠なのです。

住宅ローンは当然借金であるために、金利を払わなければなりません。
金利とは普通、「複利」であるため、「35年ローンを組んでしまうと年利が1%だとおおよそ借りた金の1.5倍以上も払うことになるよ」というのが彼らの理屈であります。

普通の人は、「え、そんなに無駄な金を払うことになるの」と考えます。
そこで、葛藤がおこります。
「自分の家は欲しいけれど、無駄な金は極力払いたくない」、至極当然です。

そこで、一つの結論にいたるのです。
「”住宅ローン”を極力利用しないようにすれば、この問題は解決できるんじゃないか」と。

え、ちょっとまって。
その考えは私から言わせるとあまりに浅はかです。

フローを増やすことは難しい。お金持ちはストックで稼ぐ。

フローとは流れてくるお金のことです。
みなさんに置き換えてみると、給料であったり、日々の儲けであったりするでしょう。
これらを増やすことを考えてみてください。
難しくないですか?

たとえご商売をされている方でも、明日からフローを2倍にすることはかなり難しいでしょう。
ましてや、サラリーマンの方、給料をいきなり増やしてもらうなんてことはほぼ不可能でしょう。

お金持ちはストックで稼ぐのです

この世に「お金持ち」は掃いて捨てるほどいますが(お金持ちの定義はしませんが)、
この方達、一体どうやって生きているのでしょう。
お金持ちの経済活動は「ストック」を元手に「お金を稼いでいる」のです。

具体的に言いますね。
「ストック」とは「持ち金」のことです。
お金持ちはこのストックを「投資・運用」することで、そのキャピタルゲインやインカムゲインなどでさらにお金を稼いでいるのです。

キャピタルゲインとは、資産の価格の上昇による利益のことで、株券などの買った時と売った時の差額のことを言います。
インカムゲインとは収益分配金のことで、株式などの配当などを指します。

不動産などを購入し、家賃を払わせてその差額で儲けるなんてのもこの場合ここに含みます。

このように、「ストックでお金を稼ぐ」には、まとまったお金が必要なのは想像に難くありませんよね。
(お金を稼ぐというのは、それなりに生活できるレベル以上のお金のことです。)

「住宅ローンの金利はすごく低い」つまりどういうことか

超低金利時代なので、ご存知のように住宅ローンの金利はすごく低いです。
事業をしている方はご存知でしょう。
まとまったお金を「借りる」際に、住宅ローンほどの金利で調達することは不可能です。

「ストックを元手にお金を増やすには、まとまったお金が必要である」、ということはすでに述べました。

住宅ローンで調達できるお金は「まとまったお金」です。

今は年利1%程度で住宅ローンを利用できます。
お分かりですよね、1%程度で住宅購入資金を借りた上で、年利1%以上でそのストックを運用すればいいのです(同額が投資できる場合)。

当然、定期含む預金などではダメです。
運用利率はリスクの度合いとほぼ完全にトレードオフなので一概には言えませんが、下は外貨預金・投資信託・株式投資などが挙げられるでしょう。
リスクを取るなら、他にも色々とありますがここでは述べません(大勝負をするべきところではないからです)。

これでも自己資金だけで住宅を購入しますか?

自己資金だけで建てる場合のシミュレーション

自己資金が3000万円あったとします。
このうち、2500万円で家を建てたとします。
手元に残る現金は 500万円です。

このうち、投資に回せるのは100万円ほどだとすると、その運用で稼げるお金はごくわずかです。

住宅ローンを申し込んで建てる場合のシミュレーション

自己資金が3000万円あったとします。
住宅ローンを申し込んで2500万円を借りたとします。
このうち、2500万円で家を建てたとします。
手元に残る現金は 3000万円です。

このうち、投資に回せるのは2500万円ほどだとすると、年に2%程度で運用できた場合、
住宅ローンを返済し続けたとしても
ローンを借りずに家をたてた場合と比べて手元に残るお金が大きいわけです。

住宅ローンを早く返してしまった方がいいわけではない

お金が溜まったらどんどん繰上げ返済していくような
戦略の方もいらっしゃるでしょう。

同じ考えで、住宅ローンを早く返してしまうよりも
手元に現金を残した上で、積極的に投資・運用をした方がいいのです。

家を建てようとしている方に投資・運用など、そういうものに全く興味がないと言う方はいないでしょう。
家を建てる、という行為は資産形成とは切っても切れない関係にありますから。

お金を稼ぐ基本は、「安く仕入れて高く売る」です。
安い金利で利用させてもらって、高い金利で運用させてもらうのです。
“住宅ローンが無駄・持ち家なんてバカ”だと言う方に耳を貸す必要はありませんよ。
お金を稼ぐ意識がない人なのかもしれません。

全く自己資金がない場合も

これらの話は投資できるだけの資金を残した上での話でもあります。
自己資金がほぼない状態で、住宅ローンを利用した場合も
自身のフローのうち、ローンの返済に当てるお金を小さくし、少しでもストックを作っていくようにすれば、
どこかで住宅ローンを繰上げ返済するよりも、儲かる分岐点ができます。

資金計画につきものの
「しっかりシミュレーション」が大事ですが、上記のようなことが理解できているかいないかで
結果が大きく異なることを覚えておいて損はないでしょう。