イエアナ

「住宅ローン減税」にダマされるな

住宅ローン減税は減税額を変えながら長く運用されています。
かなり定着してきた感はありますよね。
住宅ローン減税とはどういうものか、に関してはこちらをご覧ください。
住宅ローン減税徹底解説

住宅ローン減税にダマされるな、というのは住宅やマンションの「広告に記載されている住宅ローン減税」についてです。
チラシやネット広告には住宅ローン減税を利用すると年間で40万円が減税される、と記載されています。
確かに嘘は付いていませんよ。
住宅の営業マンもあまり実際のシミュレーションをするわけでもなく、「当然知ってるよね」という態度できちんと説明してはくれません。

控除には「所得控除」と「税額控除」というのがありまして、
所得控除は所得から税金の計算をする前に引くものであります。
税額控除は税金の計算をした後に、支払うべき税額から引いてくれるものであります。
どちらがお得なのかわかります?

所得控除が100万円という場合、
税額 = (所得 – 100) x 税率
となるので、実際にお得なお金というのは 「100万円 x 税率」でしかありません
税率が 10%の場合は 「100万円 x 10% = 10万円」しかお得ではありません。

税額控除が100万円であった場合、
100万円がポンと戻ってくるんです。もちろんこの場合は、100万円以上の税金を払っている前提ですけどね。

住宅ローン減税は「税額控除」であるために、40万円とあれば40万円戻ってくるんです。
すごい、太っ腹ですよねー。
いやいや、そうではないですよ。そんなすごい話はありません。

「最大」40万円です。
住宅ローン減税を利用するにはいくつか条件がありますが、広告に記載されているくらいなので
記載されている物件を住宅ローンで取得する場合は利用できると考えて大丈夫です。

それよりも「最大」の部分が大事です。

40万円が戻ってくる人はほとんど当てはまらない

住宅ローン減税のほぼ全ての簡潔な説明を書きます。
住宅ローン減税とは「年末のローン残高の1%のお金が戻ってきます」ということです。

40万円の減税を実現するには期末のローン残高が4000万円以上必要です。
こんなの、ほとんどの人には当てはまりません。
さらに、40万円以上の所得税を払っていないとだめ、です。
所得税で引ききれない場合は住民税からも引けますが、13万6500円か 住民税の7%が上限です。

実際はほとんどの人が40万円もの所得税払ってません。
年収600万円でも課税所得は420万円くらいです。
さらに「所得控除」「税額控除」すると所得すると 20万円ちょっとくらいが多いでしょうか。
20万円と13万6500円を足しても、40万円には届きません。
たいていの場合、住民税の方が高いです。年収800万円くらいまでは住民税の方が高いケースが多いです。

ここで考えてみましょう。
40万円もの減税を達成するには、4000万円以上のローン残高があり、
年収 700万くらいあれば、40万円の所得税を越えるかもくらいな感じなので
統計的にいうとかなり当てはまる人は少ないはずです。

さらにいうと、ローンは毎月支払うものなので、ローン残高は年々減っていきます。
4000万円を35年ローンで1%で借りた場合、10年目のローン残高は金利込みで3400万円ほどになります。
3400万円の1%は34万円です。これが戻ってくる最大額です。
借り入れが2000万円なら減税分は、1年目の減税でも12ヶ月フルだとしても22万円ほどにしかなりません。

そもそもマンションの広告で最多販売価格帯として3000万円台と表示しながら、
「住宅ローン減税最大40万円」と書くのってどうなの、って話です。
最低でも物件の何パーセントかは自己資金で支払いますし。

だいたい高級でないマンションの広告に、ローンの年末残高が4000万円にもなる物件、掲載されてないです。
これって鵜呑みにして「わかってるだろ圧力」で、「ほとんどの場合年末に40万円戻ってくる」という理解をすると怖い思いをしますよ。

少なくとも返済計画を立てる際に、きちんと金額のシミュレーションはしてくれるので詐欺とは言いませんが、
広告を見て40万円戻ってくるならアリかな、という意識でコンタクトをとってくる客を待っているのです。

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