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庭でアウトドア?ベランダでアウトドア?

最近のアウトドアブームに乗っかって住宅市場にもキャンプやらグランピングやらのキーワードを絡めた商品が増えてきました。

庭でテントを広げるスペースを設けたり、簡易的なテーブルやチェアを備えたりするようなものもありますね。
ウッドデッキもその亜種でありますし、
ベランダや屋上に人工芝敷いて夏は寝転がって星を見ながら寝袋に、みたいなものもあります。

この流れ何度目?みたいな感じでもあるのですが。
よく聞かれるのでここでも記しておきます。
まず結論じみたことから言います。
「レジャーは日常になった途端にそれは楽しいものではなくなる」のです。
加えて「人間は怠惰である」ということも頭の片隅に置いておいてください。

活動とテイストは別

アウトドアが趣味な人は大抵その活動を含めた全般が好きであることでしょう。
ゴミ箱にアウトドア用のガビングスタンドを使ったり、収納にアウトドア用のコンテナを使ったりするのは「テイストの取り入れ」です。
テイストの取り入れ、は壁に好きな絵を飾るようなもので何の問題もありません。
ここでのトピックはおうちで「アウトドア活動」をするための設備がいるかどうかです。

テイストの取り入れとの違いは「それをやめることができるか」です。そこが判断基準です。
アウトドアに飽きたらガビングスタンドも誰かに譲ればそれで終わりです。
しかし、設備として持ってしまうとそういうわけにはいきません。

人の心は変わるのです。
アウトドアに興味がなかったあなたがいつかどこかでアウトドアが好きになったように
人の心は変わるのです。
何かをきっかけにして好きなものが好きじゃなくなることもあるのです。

キャンプ、あるいはアウトドア活動がこれまでのところ支持されてきた理由は第一に抑圧された日常からの解放と物理的な開放感がリンクしているところから来ているのだと思います。

なぜ面倒が楽しいのか

炊飯器のない家庭は今やほぼないです。
アウトドアが趣味だからと言って炊飯器レスな生活を送っている人は極めてまれでしょう。
みなさん家庭では炊飯器使ってすぐご飯が炊けるしすぐに食べることができる環境を構築しています。

家庭ではベッドに入ればいつでも快適な睡眠が得られるようにしているでしょう。
それは楽だから、便利だからですよね。

でもわざわざ山や海に行って自分で火を起こして炭に火をつけて網を敷いて肉を焼いたり、鍋で米を炊いたり、長くても2泊くらいのためにテントを張ってタープを張って寝床を作ったりするのって何ででしょう?
それは端的に言って楽しいからですよね。

不便であるはずのこの作業が楽しいのってなぜでしょう?
この楽しさの理由は「普段やらないから」ですよね。

これらキャンプでの作業は人間が勝ち取ってきた便利さと真逆の方向の作業です。
いわゆる面倒な作業です。

それでもそれが楽しいと思えるのは、「普段やらないから」この一言につきます。

毎週末にキャンプに行く趣味を持っている人がいたとします(実際たくさんいますが)。

このみなさんでさえ、週末と平日の日数の割合が反対になったらキャンプだけじゃなくて別のことをしたくなるでしょう。

それはアウトドア活動が「普段やらない」ことではなくアウトドア活動が「普段やってること」として逆転してしまうからです。

「いや私は本当に私はアウトドア活動が大好きなんだ、それしながら生きていけたら最高」みたいな人もいるよ、って反論したいかもしれません。

たしかにいるでしょう。
そういう人は家の中にアウトドアを取り入れるのではなく、アウトドアの中で生活しているのです。
仕事も含めて。
例えば登山客向けに山小屋を経営してる人もたくさんいらっしゃいます。
本当に大変です。不便です。でもそれを乗り越えられるくらい「好き」だからやっていけるのです。
それくらい好きだから不便さも受け入れられるのです。

非日常が日常になった途端に楽しくなくなる

話を戻します。
「生活」が「日常」であるならば、人は「休日」には「非日常」を求めます。

普段ベッドで寝ている人は「休日」にはテントを張って寝袋で寝たいかもしれません。
それが非日常だからです。楽しいのです。

では普段から薪でご飯を炊いてる人は休みの日に何をしたいでしょうか?
外食か、炊飯器でご飯を炊いて楽をしたいでしょう。それが非日常だからです。

同じ質問をしましょう。
普段寝袋で寝ている人は休日には何をしたいでしょうか。
フカフカのベッドで寝たいでしょう。

キャンプが好きだからと言って
日常に「行動として」キャンプ的要素を取り入れてしまうと、それはただの生活になってしまい、休日にわざわざ同じ行動をすることはなくなるでしょう。

「たまのおうちでキャンプ」のために貴重なスペースを割けるか

または何度もリピートするくらいあなたの家は最高のロケーションなのか

それでは日常的にアウトドアを「活動」として取り入れなければ飽きないのでしょうか。
たまにおうちキャンプすれば問題は解消されるのでしょうか。
答えはYESです。

「普段と違う行動がしたいから」→「おうちでアウトドア」これは正しい方向です。

そう、「週末にレジャーに行くくらいの頻度」であれば趣味が変わってしまうみたいな本末転倒なことにはならないでしょう。
「非日常」は「頻度」が大きなファクターを占めているのです。

しかし頻度が抑えられれば抑えられるほど新たな問題点が出てきます。
アウトドア活動のために割いたスペースがほとんど使用されないまま放置されるのです。

その土地が余程不人気でない限り住宅において一番高いものは土地でしょう。
それなのにその貴重な土地、スペースが週末の僅かな楽しみのために予約されるのです。
もったいなくないです?

さらに「旅行」って
毎回同じところには行きませんよね、そういうのは極めてまれでしょう。それは飽きるからです。

たくさん旅を重ねたくさんの体験の中でよほど気に入った場所があれば何度も同じところに行くことはあるでしょう。
そうでなければ新しいところで新しい体験を求め行ったことがないところに行くのが普通でしょう。

キャンプもアウトドア活動も一種の旅行です。
しかし住宅は動きません。常にそこにあります。
おうちでアウトドア活動するということはいつも同じ場所で同じ地点でテントを張るようなものです。
どうでしょう?飽きそうじゃないですか?

管理されていないキャンプ場には誰も行きたくない

このページを読んでもらってる方は少なくともアウトドア活動が好きな方だと思います。それなりにキャンプ場へ赴いてテントを張って来たのだと思います。

色々なキャンプ場を見てきたのだと思いますが、その中でも「いい」キャンプ場はどんな感じでしたか?あまりよくなかったキャンプ場はどんな感じでしたか?
想像してみてください。

基準はさまざまでしょうが、少なくとも管理されていない、客があまりいないキャンプ場はいいとは言えないと感じているはずです。

朽ち果てそうな木のテーブル、伸び放題の雑草、誰も掃除していなさそうなトイレ、生ゴミが分解されず捨てられっぱなし、いつ捨てられたかわからない錆びた飲料の缶が土にまみれている、などなど。どれもあまり気持ちの良いものではありません。

アウトドアは「外」にあります。その設備は風雨にさらされ、紫外線の攻撃を受けます。手を入れなければひと夏越えるのも難しいのです。
快適なキャンプ場、それはこまめに手入れをしているからその快適さを保てるのです。

これと同じことが家に備え付けたアウトドア活動用の設備にも言えます。
手入れされない人工芝、排ガスそのものと排ガス混じりの雨にさらされて真っ黒になったベランダ、物置と化したウッドデッキなどなど。

使わなくても定期的なメンテナンスあるいは清掃が必要な箇所が増えるのです。
メンテしなければ管理人のいないキャンプ場同様誰もそこに寄り付かなくなるのです。
使う前にいつも清掃、整備なんてことが必要としてしまうとそのうちに使われなくなります。
まさに悪循環に陥るのです。

あなたは管理していく覚悟がありますか?
それともレジャーは外に求めて住宅には「普通に住むこと」を求めますか?

人間は怠惰なのです。
報酬のない仕事は誰もやりたくありません。
やらなくても誰も怒らない時、その仕事は存在していないものとされるのです。

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