なんで銀行は住宅ローンを貸したがるんだよ?
一生賃貸派、持ち家購入なんてバカのすること説派の言説に押されて、
住宅ローンを利用すること自体が嫌になっているみなさん。
お金がある人も無い人も住宅ローンを利用するべき理由は既に述べました。
実は住宅ローンを利用するのに躊躇する理由がもう一つあるんじゃないですか?
マンション、一軒家に限らずモデルハウスや住宅展示場に赴いて営業マンから話を聞く中で感じる「違和感」、ありますよね。
そうです、「何でそんなにお金を貸したがるのか?」ということです。
銀行はあなたに損させたいのではない
銀行は莫大な資金を持っています。
莫大な資金があれば莫大な利益を得られることもこちらで述べました。
住宅ローンであなたに貸し付けても銀行に入ってくるお金はその規模から考えると非常に小さいものです。高々1%程度なのです。
最近はどこの銀行もサラ金の会社を持っていることは周知の通りです。
当然、例えばサラ金のように住宅ローンでなくお金を貸した方が高い金利を稼げるので銀行は特するのに、何で住宅ローンであなたにやたらと貸したがるのか、という疑問を持つのも当然です。
簡潔に述べましょう。
銀行は、自己資本の比率が8%を切ってはいけないことになっています。
BIS規制といいます。
自己資本比率とは、貸し出しているお金のうち、自身のお金の割合のことです。
この割合8%(小さい銀行は4%の場合もあります)を切ってしまうと、
銀行は業務を行うことができない、つまりお金が稼げないのです。
自己資本比率と住宅ローンがどう関係するか
自己資本比率を求めるには、
国際統一基準で「自己資本÷リスクアセット」
と定められてます。
このリスクアセットはおおまかに「貸し出しているお金の合計」と捉えればよいでしょう。
その中で、
「貸し出しているお金の種類」に応じて重みをつけることもルール付けられています。
具体的には、
・「政府に貸しているお金(国債)」には 0を乗じる
・「企業に貸しているお金」には 1を乗じる
・「住宅ローンとして貸しているお金」には 0.5を乗じる
などです
もうおわかりですよね。
銀行は健全な業務のために自己資本比率を高めたいわけです。
自己資本比率を計算する際に「自己資本」そのものを大きくするのは簡単ではないため、
銀行の主要業務を行うのに必要な「貸しているお金」を小さくしたいのです。
ただし、銀行はお金を貸さないと商売になりません。
住宅ローンには貸しているお金に0.5を乗じることができますから、
同じ金でも、重み(この場合は軽みの方が適切かもしれません)をつけられ、
実際に貸しているお金の半分としてみなせる住宅ローン商品として
貸したいのです。
このように、たかだか1%程度の運用そのものが目当てというよりは
自己資本率を高め、リスクと運用のバランスをとりながらその他でたくさんの大勝負ができるように
ポートフォリオ分散のためにも
一定数の金額を住宅ローンで借りてほしいということなのです。