間仕切りのない家? ダメですよ
せっかく家を建てるのだから、妄想を膨らませてオシャレな家を建てたい、というのは当然ですね。
「オシャレ」、というのはどういう状態のことを指すのか考えてみましょう。
基本的にオシャレに定義はありません。
すでにオシャレと言われている要素を取り入れることがオシャレなのかもしれませんし、
オシャレ、とされている人がする行動をまねることがオシャレなのかもしれません。
「オシャレ」というのは株式投資と同じく、美人投票です。
経済学者ケインズによると
「100枚の写真の中から最も美人だと思う人に投票してもらい、最も投票が多かった人に投票した人達に賞品を与える新聞投票」に見立てることができるとし、この場合「投票者は自分自身が美人と思う人へ投票するのではなく、平均的に美人と思われる人へ投票するようになる」
wikipediaより、ですが
なんのこっちゃと思われた方へ解説。
「オシャレ」な状態である、ということに対して定義づけは難しいので、
みんなが「オシャレ」だと思うだろうな、と多くの方が思う状態が「オシャレ」だということですね。
もう一つのオシャレあるあるですが
「オシャレ」だとされている人がする行動は、自動的に「オシャレ」だと見なされますよね。
かわいい服を着ればテンションは上がりますし、それと同様の意味で
オシャレな空間に身を置くことは精神的にプラスの面は必ずあります。
オシャレにこだわるのは当然です。
オシャレな家に住むな、と言っているのではありませんよ。
家に関わるオシャレ
・家の外観がビジュアル的にオシャレ
・家のインテリアがビジュアル的にオシャレ
・家の構造がオシャレ
・家の間取りがオシャレ
オシャレにこだわる人が家を建てる時に考えることは、
どういう家に住めば、「自分がオシャレ」だと思われるか、ということです。
オシャレな家に住む人はオシャレだ、という部分です。
タイトルに戻ります。
「オシャレにこだわるあまりにやっちゃうダメ行動」について書いてみます。
上記のオシャレにこだわることとして
「家の構造・間取りがオシャレ」ということを挙げましたね。
多くのオシャレこだわり派に共通する意見が
・間仕切りをなくしたい
・収納をなくしたい
的なやつです
壁やドアを極力なくして、開かれたイメージで生活をしたい、というのです。
その感じがオシャレな感じなのはわかりますよ。
ここで考えが浅いな、といつも思うのです。
さらに、大抵子供さんが小さい方々に共通してこのイメージをお持ちです。
家を建てるきっかけは、子供が生まれた時、子供の環境変化の区切りなど
子供を中心としたことが多いでしょう。
子供はいつまでも幼児ではない
家を建てる時にはローンのことも含めて今後30年、40年と先のことを考える一方、
自身の子供に対しては、成長していくことに対する想像力を欠く方が非常に多い。
子供さんはいつまでも小さい子供ではありません。
男の子ならば、成人用の例のやつとか隠したいものや行動(笑)も出てくるでしょう。
間仕切りのない家が嬉しいのなんて、子供が小さい頃だけです、実際。
あなたの自分自身の親御さんとの関係をもう一度思い返してみましょう。
いつも監視されているような広い空間に同居したかったですか?
そんな空間で楽しい生活を送れたでしょうか。
子供にとって、親はいつまでも自分に命令・指示する存在なのです。
基本的には逆らえません。そういう人にいつも見られている、というのはやはりストレスなのです。
こういった家を建ててしまった家族の末路は二つです。
・関係が非常に悪くなる、よくてもすぐに家を去り(下宿とか含め)子供が家に寄り付かない
・家が嫌になり引越し
「デザイナーズ住宅」を扱う工務店・ハウスメーカーは
よく、「間仕切り」と「収納」をなくさせようとします。
理由は、コストが削減できるために利幅が大きくなるからです。
こういう工務店・ハウスメーカーにとっては
「オシャレなライフスタイルに満足」することと
「間仕切りをなくしたコスト削減効果によるコスパ(思ったほど高くない)」という
お客の二重の満足により、二重の利点があるのです。
後から間仕切りは足せる?
さらに、二の足を踏む客に対しての殺し文句が
「間仕切りは後からいくらでも足せる」ということです。
それは確かにそうですが、
その時の費用を提示していることを見たことはありません。
提示しても、せいぜい100万程度の費用です。
壁の追加やドアの追加はリフォームとしてはまあまあの規模である一方
この費用は「工事費のみ」だけで
材料費とリフォームにかかる片付け費用や、仮住まいが必要な場合の費用などは当然含んでいません。
コスト面はさておき、重大なのは
前述の
「・関係が非常に悪くなる、よくてもすぐに家を去り(下宿とか含め)子供が家に寄り付かない
・家が嫌になり引越し」
です。
間仕切りを足すという決断を下す瞬間は、大抵家族の仲がすでに良くありません。
家族の仲を悪くしてしまったのは家の間取りかもしれませんが、
その状態で「間仕切りさえあれば修復する」、何て判断ができることはまずないでしょう。
悪いことは言いません、もし間仕切りをなくしてみたい、何て軽い気持ちで迷っているのならば
それは最小限にとどめましょう。
本当に大事なのは家ではなく、あなたの家族です。